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モビリティ新時代へ/中部サプライヤーの挑戦/(27)/サンリツ/独自製品開発へ土壌づくり/今年チーム立ち上げ/販売までの流れ経験

2022年10月12日(水) AM5:00 EX) [有料会員限定]1,156文字

女性社員2人で取り組んでいる


 自動車部品の試作、開発を手掛けるサンリツ(本社刈谷市)は、自社商品開発に向けた土壌づくりを始めた。今年、社内に新規事業立ち上げに向けた「商品開発チーム」を設立した。チームでは、第1弾として、ステンレス製の園芸用タグを開発。社員に商品の開発から販売までの流れを経験してもらい、会社全体として、新規事業を創出する力を育てていく狙いだ。
 商品開発チームは今年4月に設立。チームメンバーには、総務部の松井公仁子さんと、もともと設計部門に在籍していた江坂環さんの2人が選ばれた。設立時、井本龍宏社長からは「社内外問わず、何でもやっていいよ」との指示が飛んだ。江坂さんは「これまで指示があっての仕事が中心だった。何でも良いと言われて困惑してしまった」と振り返る。
 幅広い選択肢の中で、同社の強みの一つである、ファイバーレーザー加工を使用する案が出た。薄い鉄板でも素早く細かい加工が可能で、デザイン性の高い製品がつくれるからだ。
 2人で思案し、選んだのが、園芸用のタグ。実はメンバーの1人、松井さんは、元保育士。保育園で子どもと一緒に野菜を植えた際に、安いタグの場合、雨や風ですぐ壊れてしまい、困った経験があった。江坂さんとも意見が一致し、開発をスタートした。
 まずは、材料選びから。土に刺さない、上部はカードなどを挟めるクリップ状にしたかった。そのため少しコストが増すものの、材料には鉄ではなく、弾性のあるステンレスを選んだ。薄さは、土に刺さりやすく、レーザー加工で焼き落ちない限度である、0・5ミリに設定した。製造現場の社員らと試行錯誤を繰り返しながら材料や薄さなどを選び抜いた。
 もっとも苦労した点が、外部に依頼している塗装だ。雨風の影響を受けにくくするため、特殊な塗装だったこともあり、外注選びが課題となった。社内では、塗装の外注先に詳しい社員がおらず、2人は契約書すら書いたことがない未経験者。
 何度も失敗を繰り返したが、そのたびに、社内でもアドバイスや手助けをしてくれる社員が増え、開発が完了した。松井さんは「これまでは他部署の社員がどんな業務をしているか、分からなかった。商品開発を通じて、改めて会社への理解も深まり、少しずつワンチームになっていく感覚もあった」と強調する。
 販売方法は現在検討中で、価格は850円前後を想定している。井本社長はチーム立ち上げの狙いについて、「開発から売るまでの流れをつくり、やりきる大切さを学んで欲しい。利益よりも、長いスパンで自社製品を創出できる土壌づくりを目指している」と力を込める。
 (川原和起、水曜日に掲載)
 <会社プロフィル>本社は刈谷市一色町3の7の11。創業は1959年。自動車部品のほか、航空宇宙関連部品、介護機器の試作開発を手掛けている。従業員数は約40人。

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