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三州瓦販売の碧南窯業/旧九段会館の瓦復元/瀬戸瓦を三州産地で2200枚/鬼師、窯元、釉薬メーカーが連携

 東京都にある国の登録有形文化財・旧九段会館を保存しながら建て替えるプロジェクト「九段会館テラス」が1日、開業した。旧九段会館の瓦には戦前、瀬戸市で製造された「瀬戸瓦」が採用。現在は生産が途絶え復元が危ぶまれる中、三州瓦販売と屋根工事を手掛ける碧南窯業(本社碧南市松江町3の27、神谷彦二社長、電話0566・41・0934)が、三州瓦製法で復元した。納入した瓦は約2200枚。同社では「分業体制が完結している三州瓦産地だからこそ復元できた」(長田朋和営業企画部長)と、三州産地の底力をアピールする。(刈谷・松田理恵子)

2022年10月12日(水) AM5:00 EX) [有料会員限定]908文字

当時の瀬戸瓦(左)と復元した三州瓦を披露する長田部長


 旧九段会館は「軍人会館」として、1932年に千代田区で着工。東日本大震災の天井崩落によって2011年に閉館した。その後、東急不動産(本社東京都)と鹿島(同)が、建物を一部残して17階建ての複合施設に建て替え、1日にグランドオープンした。
 旧九段会館の屋根に使用されていたのは、瀬戸焼と同じ粘土と釉(ゆう)薬を使い、登り窯で生産されていた瀬戸瓦だ。昭和初期には3社が製造し、産地から同会館に鬼瓦を搬出した際の写真も残されているが、1960年ごろに製造は途絶えたとされる。
 碧南窯業の長田部長は、同会館の瓦が瀬戸瓦であると突き止め、屋根工事業の 小林瓦工業(本社茨木県)とともに、同プロジェクトに提案。三州瓦の土を使用しながら、釉薬を工夫することで当時の深緑色の瓦の再現にこぎつけた。
 復元に当たっては、同会館に使用されている約3万枚の瓦を現地で調査。当時の瓦を補修したり、当時の瓦と違和感がないよう釉薬約700色を試しながら、約4年間をかけて納入した。
 長田部長は「今回の瓦は鬼師(鬼瓦をつくる職人)、釉薬メーカー、窯元が集約している三州産地で、連携できたことが大きい」と話す。
 同社は、選択と集中の観点から2008年に三州産地の同業5社で共通ブランド「SKJ」を構築。量産から撤退しているが、東京都の重要文化財・旧江戸城外桜田門や全国の寺院など、歴史建造物の屋根の復元に実績を持つ。
 長田部長は「誰かが挑戦しなければ昔の瓦は残らない。苦労もあるが、復元することで次の時代につなげたい」と話している。

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