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オープンカレッジ/星城大学経営学部准教授/安西由美江/リーダーシップ/スタイルの有効性考える

2022年10月12日(水) AM5:00 EX) [有料会員限定]1,307文字


 著しく変化する環境の下、ビジネスにおける時流は早く、組織は競合に負けぬよう限定的経営資源を最大限に活用し、より効果的な運営を求められている。この一つの解決策として有効なマネジメントやリーダーシップがある。
 マネジメントとリーダーシップは区別しにくいが、マネジメントが「効率的、確実に組織を運営する機能」であるのに対し、リーダーシップの定義は「能動的に集団に働きかけ、使命や目標を達成するよう影響力を駆使する」とされる。
 ここでは有効なリーダーシップを発揮できるリーダーの条件を考えてみたい。
 優れたリーダーの条件を問われると、責任感の強いリーダーや誠実で思いやりのあるリーダー、あるいは人を引き付ける魅力あるリーダーを思い浮かべる人も少なくないだろう。これらは全て個人の有する特性だが、この特性だけでリーダーの有効性を定めるのは困難である。会社の社長と野球チームの監督では全く求められるものが違うし、同じ会社においても従業員数人の創業時と成長段階、安定期、成熟期ではやはり求められるものが違う。ダイバーシティを積極的に取り入れる組織、急なコロナ禍における組織運営においても求められるものは違うだろう。
 そこでリーダーの行動パターンを考えると、トップダウン式強制型や人との関係性を重視したリーダーシップ、公平性を重視した民主型リーダーシップが挙げられる。学生にアンケートをとると民主性に配慮したリーダーシップや人への配慮を重視したリーダーシップの人気が高い。
 しかし、コロナ禍での対応、日本で多発する災害等の緊急時はどうだろうか?
 一例だが、あるグローバル企業の社長が取締役会直前に人命を左右する可能性のある大災害に直面した。この社長は関係性を重視し業績を上げた優れたリーダーだが、この時、企業内外の関係に配慮するばかりに決断ができなかった。社長の右腕だった取締役が取締役会延期を促し社長がやっと決断したというケースだった。この場合、トップダウン型、即決型リーダーシップが迅速な課題解決に有効だと言える。このように、行動パターンだけでは外的要因に適合できない場合がある。
 ダニエルゴールマンは、前述のリーダーシップスタイルに加え、ビジョンを組織全体に伝えることで人々を自主的に動かすビジョン型、個々の希望を組織の目標に結びつけるコーチ型を含む六つのリーダーシップスタイルを紹介した。有効なリーダーは六つの異なるリーダーシップスタイルを持ち合わせ、まるでゴルフのクラブを選ぶかのように、状況に合わせリーダーシップスタイルを切り替えて活用できると言及した。そう考えると、野球チームの監督、組織における異なるフェーズ、緊急時における組織対応等、全てに適応可能となる。とはいえ優れたリーダーでも、自身の慣れたリーダーシップスタイルを即座に変えるのは至難の技である。ゴールマンのリーダーシップを実践するには、前述の事例のように助言をしてくれる信頼のおける違うタイプの右腕を採用するというのも有効と言える。
 あんざい・ゆみえ
 組織文化論、リーダーシップ論。
 イギリス・ダラム大学MBA修了。グローバル企業副社長補佐を経て現職。

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