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成果まで粘り強く実施を/社会の変化に合わせ推進/進むダイバーシティ/多様な人材が活躍できる組織へ / 

■多様な人材  昨今の急激な社会環境・経営環境の変化により、多様な人材が活躍できる組織を目指す、いわゆるダイバーシティを推進する動きが強まっている。組織の人材が多様化すると、企業全体の生産性が向上し、労働力不足の解消にもつながるとされているからだ。

2022年10月12日(水) AM5:00 EX) [有料会員限定]1,501文字


 多様性を意味するダイバーシティ。ビジネスシーンでは国籍、性別、年齢、価値観、障がいの有無などに固執することなく多様な人材を受け入れることで、イノベーションを生み出し、企業の競争力向上につなげる理念として使われる。もともと多民族国家のアメリカで生まれた考え方で、社会的少数派の機会均等や多様な人材の競合によって企業価値を高める経営手法として広まった経緯がある。
 日本では1986年に男女雇用機会均等法、1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたが、当時はまだ女性差別をなくすという程度の考え方だった。それが労働力不足や日本型雇用慣行の破綻、グローバル化の遅れ、世代間格差など、さまざまな問題が顕在化するに連れて、認知されるようになってきた。経済産業省も目指すべき方針のひとつに「ダイバーシティ経営」を打ち出し、効果として次の4つを挙げている。①グローバルな人材獲得力の強化、②リスク管理能力の向上、③取締役会の監督機能の向上、④イノベーション創出の促進。
 ■新しい視点
 ダイバーシティ経営は企業規模問わず広がりを見せているが、諸刃の剣であり、やり方を間違えると逆効果になる恐れがある。経営学において「ダイバーシティが組織の成長を阻害する」という研究があり、それを考える新しい視点として注目を集めているのがフォルトライン(組織の断層)理論だ。例えば6人の組織を構成する際、「男性・40代・正規雇用」3人と「女性・20代・非正規雇用」3人にすると、前者と後者の間に見えない境界線ができてしまい、境界線を越えたコミュニケーションが難しくなる。そのため1人がユニークなアイデアを持っていても、それが全体になかなか伝わらず、結果として多様性を活かしたチャンスが生まれなくなる。場合によっては組織分裂を招く恐れもある。同理論によれば真のダイバーシティを進めるのなら、明確な1つの対立軸を作らず、徹底的に多様性を追求することが重要だという。男女とも年齢や経歴など属性を可能な限りバラバラにすることで境界線があいまいになり、ダイバーシティの成果が生まれやすくなる。
 ダイバーシティ経営を推進している企業の中には「考えられる施策は全部やったつもりだが効果が見えない」「かえってコスト増となり、対立を生んでいる」といった声もあるが、一因としてフォルトラインが考えられる。
 ■現状を把握
 ダイバーシティ経営を始める際、まずは経営者・人事・現場管理職が一緒になって現状を把握し、ガイドラインや目標を定めることが求められる。ただ、それはあくまで第一歩でしかない。ダイバーシティ経営は目的ではなく、プロセスである。社会の変化とともに多様性は常に変化しているので、取り組みをやめたとたんに、混乱したり、以前の状態に逆戻りしてしまうこともある。ダイバーシティ経営は粘り強く続けてこそ成果が現れるのだ。
 「日本人・男性・新卒」という人材モデルで発展してきた日本は、同質性を活かすという方向に注力してきた歴史がある。同質性は会社への忠誠心や連帯感を生み、経済成長を後押しした。その頃の考えが根強かったこともあり、日本のダイバーシティ経営は世界から遅れを取ったわけだが、見方を変えれば、挽回余地があるということ。ダイバーシティを進めることで、日本の企業はもっと成長できるのではないだろうか。

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