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ゲーム題材の図鑑人気/仮想体験が好奇心を喚起/背景に親世代の意識変化

 「ゲームばかりしていないで勉強しなさい!」なんて怒られたのは昔の話かもしれない。テレビゲームの内容を題材として活用し、学びに役立てる図鑑が人気だ。バーチャル(仮想)体験が実体験と同様に受け止められるようになり、親世代の考え方が柔軟になったことも背景にあるようだ。

2022年10月12日(水) AM5:00 EX) [有料会員限定]1,022文字

任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」で遊びながら、講談社の図鑑を読む子ども=9月、東京都内

講談社の佐藤華編集長。「子ども向けと思われるかもしれないが、専門家が監修し、最新の研究が盛り込まれている」と語る=9月

講談社の「あつまれ どうぶつの森 島の生きもの図鑑」、宝島社の「桃太郎電鉄でわかる都道府県大図鑑」シリーズと「マインクラフトで楽しく学べる!地球のひみつ大図鑑」


 講談社は7月下旬「図鑑MOVE」シリーズの最新刊「あつまれ
 どうぶつの森
 島の生きもの図鑑」を刊行。売れ行きは通常の約2倍で大きな反響を呼んでいる。題材としたのは任天堂の人気ソフト「あつまれ
 どうぶつの森」。無人島で虫捕りや魚釣りをしながら生活を豊かにするゲームだ。図鑑は、そこに登場する虫や魚など全235種の生態を写真やイラストを交えて解説。ゲームで生き物に興味を持った子どもが読んで深く学べるよう工夫した。
 「図鑑MOVE」シリーズは世界遺産や五輪も題材にしてきたが、ゲームは今回が初めて。佐藤華編集長は「図鑑は高価なのでハードルが高い。ゲームを入り口に門戸を広げたい」と語る。読者からは好意的な声が寄せられている。愛知県で購入した小学生の母親は「以前はゲームに冷ややかだったが、遊んだ後、図鑑を読み込む流れなので温かい気持ちで見守れるようになりました」とコメントした。
 佐藤編集長は「親たちもゲームでいろんなことを学んできた」と話し、ゲームを単なる娯楽と見なす考え方は薄れているとみる。ゲーム上やインターネット上の仮想空間で現実と同様の体験を楽しむ「メタバース」も広がっている。
 宝島社は昨年から今年にかけ、人気ゲームの「桃太郎電鉄」と「マインクラフト」の内容に沿った図鑑を刊行。前者はすごろくで全国を回るゲームだ。図鑑は47都道府県の名所や特産を載せ、地理が学べる。後者は岩石や鉱物を採取し自由に世界をつくるゲームで、理科の学習に役立ちそう。
 企画・編集した宝島社の九内俊彦さんは、子どもと一緒に「桃太郎電鉄」で遊びながら、出てくる地名を説明した経験から本を作ろうと考えた。「現在の親世代は子どもの頃からゲームが日常的にあった。毛嫌いする風潮はなくなっている」
 「マインクラフトで楽しく学べる!地球のひみつ大図鑑」を監修した左巻健男元法政大教授(理科教育)は、自然と触れあう外遊びが減り、ゲームなどのバーチャルな体験が代わりを果たすようになったと分析。「実体験がもっと必要とは思うが、いろんな学びの入り口がある方がいい。ゲームが大きな一つになるとの期待はある」と語った。